耳鳴りと顎の関節の関係
「耳鳴り」と聞くと、多くの方は耳の中に原因があると考えるかもしれません。
しかし、実際には耳そのものに異常がなくても耳鳴りが起こることがあり、当院ではその一因としてアプローチすることが多いのが 顎の関節(顎関節)やその周囲の筋肉の状態です。
顎関節は耳のすぐ前に位置し、耳と非常に近い関係にあります。さらに顎を動かす筋肉(咬筋や側頭筋など)は耳の周囲まで広がっているため、顎やその周囲の不調が耳に影響を与える可能性があります。
例えば、強い食いしばりや歯ぎしりによって側頭筋が緊張すると、その近くを走る神経や血管が圧迫され、耳鳴りを引き起こすことがあります。また、顎関節のわずかな歪みが耳と喉をつなぐ耳管の働きを乱し、耳の詰まり感や耳鳴りにつながるケースも少なくありません。
姿勢の影響も見逃せません。猫背や首・肩のこりが強いと、顎や頭の周りの筋肉に余計な緊張がかかります。その結果、顎関節の動きが悪くなり、耳の周囲にまで不調が波及するのです。特にデスクワークやスマホ操作でうつむく姿勢が続く方は要注意です。
では、耳鳴りと顎の関節の関係を疑うべきサインにはどんなものがあるでしょうか?
-
朝起きると顎がだるい、疲れている
-
無意識に食いしばっていることが多い
-
顎を開けると「カクッ」と音がする
-
肩や首のこりが慢性的に強い
こうした症状がある方は、耳鳴りが顎の不調と関係している可能性が高いといえます。
耳鼻科を受診しても異常が見つからなかった場合でも、顎や姿勢からのアプローチで改善が見込めることがあります。
当院では、耳鳴りの背景にある顎関節や首・肩まわりの緊張、さらには全身のバランスを整えることを大切にしています。
顎だけを見ても、体全体の歪みや姿勢が影響しているケースが多いため、骨格・筋肉・内臓のつながりを考えながら調整を行います。
その結果、耳まわりの血流や神経の働きが改善し、耳鳴りの軽減につながる方もいらっしゃいます。
耳鳴りは「耳の病気」と思われがちですが、顎関節や全身の姿勢とのつながりを知ることで、改善の新しい道が見えてきます。
「耳の検査では異常がないのに耳鳴りが続いている」「肩こりや食いしばりと一緒に耳鳴りが気になる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。